WEB VISION OKAYAMA

連載記事

「身によく付く」

 子供のころから外国語に興味を持っていた私は、大学でさまざまな言葉を収得しようとしました。フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、朝鮮語…。

 しかし、才能の無さは如何ともし難く、結局まがりなりにも読み書きできるようになったのは英語、フランス語、イタリア語の3つだけです。

 イタリア旅行の際など、イタリア語をしゃべるのは楽しいものです。しかし、残念なことに私のイタリア語は語彙も言い回しも限られていて、フランス語ほど気持ちを込めてしゃべることができません。

 ところが、そのフランス語にしても風邪をひいたりして体調不良になると、フランス語でなく英語ならどんなに気楽に、しかも言いたいことがしっくり言えるのに残念、と感じます。

 習い始めたのが若い時の言葉ほど、記憶の奥深くに定着している、つまりは“よく身に付いて”いるのです。そういう意味では日本語、しかも岡山弁が言語野の中枢にあることはいうまでもありません。

 母が胃に開けた穴から人工栄養食に切り換えて早半年が過ぎました。最初はうまくいっていたのに、最近になって下痢や微熱が続くようになり、医師も対策に苦慮されていましたが、私なりの結論はこうでした。

 宇宙食にもなりそうな“完全栄養食”に体が付いていけなくなったせいではないか?。日本人は昔からお腹をこわした時はお粥に梅干しと相場が決まっている!。

 さっそく自家製流動食を作って胃に注入し始めたら奇蹟のように下痢が収まり熱も下がりました。

 言葉でも食習慣でも、人生のごく初めのころに身に付いたものが一番最後まで身を助けてくれるものだという気がします。

本誌:2007年3.5号 12ページ

PAGETOP