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アルジェリア紀行(6)

 一昔前まで日本に滞在する欧米人共通の悩みは“ガイジン”と呼ばれることでした。しかし、アルジェリアの子供たちははるかに強烈、日本人が行く先々集団でくっついてきては「ジャポネ、ジャポネ!」とこちらが何か反応するまで大合唱です。

 ジャポネとはフランス語で日本人という意味で、蔑称ではないにしてもあまり気分のいいものではありません。金魚の糞みたいにどこまでもついてくる子供たちを無視し続けると今度は小石を投げてくるので危険この上ない。まあ、アルジェリアの子供の目に日本人は珍獣にでも見えていたのでしょう。

 ある日曜日、オランの繁華街に出掛けた時のことです。まだ声変わりもしていない男の子が、人の顔をまじまじと見ながらいきなり「Bakayarou!」と言ったのです。これには温厚な私もぷっつん。その子をとっ捕まえてお尻を蹴ってやりました。

 たちまち私と男の子は屈強なオヤジたちに取り囲まれました。私はボコボコにされるなと覚悟したのですが、しかし、ボコボコにされたのは男の子の方でした。雰囲気から察するに、「外国人に失礼なマネをするな」と指導が入ったみたいです。

 ちなみに"Bakayarou"は日本人が常日頃現地の子供たちを追っ払うのに言い返していた言葉。いざ、そう言われてみると日本語だけにグサッときます。もちろん子供は日本語の意味なんか分かってないのですが。

 半年後アルジェリアを去って長いヨーロッパ旅行をしました。けれどもフランスでもドイツでも、もはや子供たちから声をかけられるようなことはなく、かえって寂しく感じたものです。

本誌:2007年2.5号 14ページ

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