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巻頭特集アルネ・津山、11月3日リニューアル

政争の「城」から中心市街地の「核」に 「天満屋」「地元色」で魅力創出

  • 11月3日にリニューアルオープン

 再開発ビル「アルネ・津山」(津山市新魚町17)が、11月3日リニューアルオープンする。城下町・津山の「平成の城造り」と呼ばれた豪華施設を売り物に平成11年4月、華々しくオープンしてわずか7年半。売り上げは当初見込みの5割程度に低迷し、施設を管理運営する第3セクターは破綻寸前に追い込まれ、多額の公的支援、それに伴う現職市長のリコールと続いた混乱の時代から、再建への第一歩をようやく踏み出すことになる。果たしてアルネはこれまでの「負のイメージ」を払拭し、中心市街地活性化の核施設としてよみがえることができるのか。リニューアルの概要と、今後の課題を探った。

 アルネの売上高は、当初見込んだ年間115億円を大幅に下回る60億円前後で推移し、家賃収入が売り上げの大半を占める第3セクター津山街づくり(株)の破綻危機が表面化。「破綻した場合の影響は計り知れない」として津山市が公有化に乗り出し、28億円で商業床の一部を購入し、同社は債務を一括弁済、銀行や核テナントの(株)天満屋にも債権放棄などの金融支援を求める-を柱とする私的整理ガイドラインに基づく再建計画案が17年1月に市議会で可決。これにより約61億円(平成16年9月末)に膨れ上がっていた債務や、年間8000万円の金利負担問題は一応のめどがつき、商業施設としての魅力回復のためリニューアル準備が進められている。

 再建策では、3セクの役員構成が津山市や商工会議所、金融機関などからの出向者で占められ、商業施設としての調整機能を十分発揮できなかったことへの反省を踏まえ、「専門ノウハウを持つ経営陣の外部招へい」が挙げられ、現在は3セク側の意向を受けた天満屋から、前福山店長で営業企画部門の経験が豊富な和田倍夫氏が常勤の代表取締役副社長に就任。天満屋との調整をはじめテナント誘致交渉、営業戦略立案などに当たっている。

 和田氏によると、今回のリニューアルのポイントは(1)空き店舗解消(2)集客装置誘致(3)集客ブランド導入-の3点。「いいブランドを誘致しようとすれば必ず施設を視察する。その時に空き店舗が多いようでは駄目で、ベースとしてきちんとした施設運営ができていることが一番重要」と、まずは10数店に及ぶ空き店舗の解消に全力を挙げた。

 その結果、商圏規模などから「超」の付くメジャーテナントとはいかないまでも、天満屋グループの商業施設や同グループ店舗と同一SC内へテナント出店している生活雑貨「スリーミニッツハピネス」や(株)ワールド(神戸市)の婦人・子供服、服飾雑貨「ハッシュアッシュ」などの人気テナント導入に成功した。

 テナント集めのもう一つのキーワードは「地元」。(有)日笠農産の黒豚、タカラ産業(株)のびっくり杜仲地どり、(株)佐野食品のレアチーズ豆乳デザートなど、津山圏域で話題の“ブランド商品”を販売するほか、11月3~5日には地元の人気スイーツ13店を一堂に集めたイベントを開催。好評な店舗については、改めてテナント出店も検討する方針という。

 また、集客装置としては、全国でおもちゃのテーマパーク事業を展開する(株)おもちゃ王国(玉野市)が初の子供向け屋内型施設を11月3日に一部オープン。来春に予定される第2次のリニューアルでは、1000人規模の集客が見込めるカルチャー教室の入居も固まるなど、課題解消に向けての当面のてこ入れはほぼ整うことになる。

 「天満屋」「地元」の2枚看板がものを言い、「従来の水準以上のテナントを揃えることができた。75点ぐらいの出来」(和田氏)と評価する今回のリニューアル。しかし、ここに至る道のりは決して平坦ではなかった。撤退した3階書店の後継店誘致では、交渉した先は実に50数社に上った。テナント選びにこだわった結果という側面もあるが、再開発組合の資金流用問題や、再建策を巡り現職市長のリコールにまで発展するという政争に巻き込まれたアルネに対する負のイメージは、それほど深刻だった。

 「見直すべきは見直す」と掲げて当選した桑山博之市長の下、8月末に「ありかた委員会」が発足。再建計画の検証、まちづくり交付金事業の未執行分の見直しを議論するなど、市のスタンスにもやや分かりにくい部分があり、リニューアル時期は当初計画より2カ月遅れることになった。ある地元関係者は「中途半端なリニューアルであればしばらく休業し、『アルネ』という名前を変えるぐらいの方がイメージチェンジには効果的」との厳しい声もある。

 津山地区では、地域一番店のジャスコ津山店(津山市河辺1000-1)が、店舗面積を約1万平方メートル増床して2万5797平方メートルとし、物販、飲食などの専門店約50店を導入する計画のほか、西隣の鏡野町では、とん挫したとみられていた開発面積7ha超の巨艦スーパーセンター「PLANT」の進出計画が再浮上。大黒天物産(株)(倉敷市)の「ラ・ムー津山店」出店計画もあり、商業施設店舗面積の大型店シェアは70%超とみられる、県内でも有数の大激戦地となっている。

 「核になるアルネをまず再生し、周辺商店街に波及させる」(津山市まちづくりプロジェクト推進室)というのが、市の描く中心市街地活性化の基本ストーリーだが、これまで地元商業者らには「なぜアルネだけに」と複雑な思いがあるのも事実。「アルネ再生→周辺商店街への波及効果→中心市街地活性化」-という構図への理解を深める一層の努力も重要だ。

 ある市議は「壊すにしても20億円かかるとも言われる施設を有効利用しなければ、本当の無駄になってしまう。何年も議論した我々にも奇々怪々なアルネ問題を(ありかた委員会で)半年議論して何ができるのか。それよりまちづくり3法改正への対応などを議論すべきで、街づくりに対する市の方針を明確にしなければいいテナントを集めるといっても限界がある」と指摘している。

本誌:2006年10.30号 4ページ

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