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インタビュー・対談高橋人生堂書店 高橋頼子さん(54)

「良書を残す」使命感支え

  • 村上作品の魅力を語り合う高橋さん夫婦

 「良質の活字文化を伝え、残していくのが書店の使命だと思っています」
 
 昨年12月、高橋さんがオープンしたカフェ併設の書店「高橋人生堂」。約50 平方メートルの小さな店内には、「ノルウェイの森」「羊をめぐる冒険」「海辺のカフカ」といった村上春樹の小説や短編集、翻訳本などが並ぶ。村上作品をこれだけ集中的に集めた店は珍しい。エプロン姿の高橋さんは「他店にはない、こだわりの品揃えが自慢です」と胸を張った。

 エアロビクス、趣味のお菓子作り、友人とのランチ・・・と充実した日々を送っていたが、50歳を過ぎた時「何か新しいことを始めるなら今が最後のチャンス」と起業の決意を固めた。

 岡山市内の書店に長く勤め、「ベストセラー」の名の下に、話題の本が現れてはたちまち消えていく風潮が気になっていた。良書でも売れなければ書棚から姿を消す時代。個人経営の小さな街の書店が大型店に飲み込まれて廃業を迫られる中、「デパート型ではなく、個性的なブティック型の本屋で良書を残したい」と考えた。

 本好きの夫、康男さん(52)のアドバイスも受けながら、村上作品だけでなくアメリカ文学や輸入絵本のほか、岡隆夫、福田健雄といった県ゆかりの詩人らの専用コーナーも設け、書棚はすっかり充実。本には事前にすべて目を通し、「読んでみてよかった本」だけを置くというこだわりようだ。

 オープンから半年余り。売れ行きは当初期待していたほど伸びず、まだ厳しい経営が続いている。だが「色々な方の支えがあってここまで来られた。これからも、あまり知られていない作家の秀作を紹介していきたい」と高橋さんは前向きだ。“良書”を掘り起こし伝えるという使命感に燃えている。

倉敷市茶屋町431-25
電話050-7543-5214

本誌:2005年10.17号 11ページ

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