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巻頭特集中国銀行

新中期経営計画「誠実と変革」が本格始動

  • 中国銀行本店

 地銀上位の(株)中国銀行(岡山市丸の内1-15-20、永島旭頭取、資本金151億4900万円)の新中期経営計画「誠実と変革」(17年4月~20年3月)が、本格的に動き出した。“攻め”の姿勢を打ち出した意欲的な内容で大胆な自己変革を図ろうというもの。また、以前は「石橋を叩いても…」の行風から、全国の地銀の中でもほとんどのサービスで後発だったが、最近はいくつかの分野で逆に先行するケースが出てきた。新経営計画で大きく変わろうとする動きを追うとともに、永島旭頭取に変革への意気込みを聞いた。

「石橋を叩いても…」から着実に転換

「両翼市場の攻略」

阪神広島へ融資攻勢
かつてない異動規模

 本業の事業性融資の分野では、阪神、広島・備後地区の両翼市場と四国地区を強化する。岡山県内の全体のパイが縮小する中、県外、特に大都市部に活路。10月から融資渉外担当の行員を両翼市場にかつてない規模の異動で本格的に投入するとともに、組織体制も大幅に変更し、新規開拓に攻勢をかける。

 地盤である岡山県内の融資シェアは36.2%、ここ2年で0.2ポイント拡大した。都市銀行や近隣の地銀の攻勢で草刈場の様相を呈している中、営業努力でシェアを伸ばした。しかし、県内での資金需要は低迷。全体の市場規模が縮小し、県内向けの融資額は伸びていない。

 そうした状況の中、県外市場、特に市場規模の大きい阪神、広島の両翼市場の開拓を決めたもの。

 阪神地区は10年前からの相次ぐ再編によって地銀がなくなり、現地の中小企業にとってメーンバンク不在の状態。そのため、中小企業融資の分野は各業態入り乱れての正に草刈場だ。無担保の新型融資でリテール(小口金融)を強化する都銀や地元の信用金庫などが取って代わり守りを固めつつあるが、同行が食い込むチャンスは十分ある。

 広島地区は、(株)もみじホールディングス(広島市)と統合する(株)山口銀行(下関市)が両翼作戦で広島市に本部を設置、西から広島を攻め込んできており激戦だ。しかし、銀行・信金・信組の6月の貸出金残高は岡山県4兆6730億円に対し広島県8兆5115億円(中国財務局調べ)ではるかに市場規模が大きく魅力的だ。

 いずれも大都市部だけに競合が厳しく金利水準は低い。その分、融資の量的拡大でカバーしていく方針。

 また、隣接する香川県も重点地域だが、融資シェアは現在8.4%と低い。これを将来的に10%にまで高めたい考えで攻勢をかける。

 同行では、10月から融資渉外担当を両翼へ本格投入。四国地区と合わせて中期計画の期間中に計40人程度を回す予定だが、まず10、11月にその半分の20人弱を一気に投入する。前回の中期計画でも最初の14年度に戦略市場の両翼に11人を投入。期間中に同市場で事業性融資438億円を上乗せする成果を出した。今回はそれを上回るかつてない投入規模となる。

 組織改革では、10月から四国と備後の2ブロックに地区本部制を導入しブロック内の店舗を統括する。備後地区で既に地区本部制を導入済みだったが、新地区本部はさらに権限を強化、より自立性を高め機動力を発揮させる。

 具体的には、本部長は取締役以上を置き一定の人事権と経費権を付与。また、審査スタッフを常駐させ審査スピードを上げるほか、営業戦略を支援するスーパーバイザーを置く。

 17年度下期の両ブロックの状況を見て他地区での導入も検討。両翼のうち広島市内は対象外だが、阪神地区は導入候補の1つとして検討する。

 そのほか、地区本部以外の一般営業店の店長の権限も全般的に拡大する方針。時期は未定だが「できるだけ早急に」(営業統括部)という。

 両翼市場への人材の大幅シフトと言えば、半面、“県内市場軽視”ととられがちだが、「県内も重要な市場で引き続きシェアアップを目指す」と強調する。

 県外への人材は住宅ローン業務の効率化で捻出する。今まで渉外担当は1人何役もこなしてきたが、今後は各分野の専門スタッフ化を推進。住宅ローンセンターも現在5カ所から10数カ所に増設、住宅ローン業務を集約する。また、自動審査システム導入などで業務を効率化。現在住宅ローンは延べ 140、150人が従事しているが、効率化で90人での対応が可能となり、50人の行員が浮く。既存の業務にしわよせが及ぶことなく、県外に回せるわけだ。

 今までは県外から攻められるだけだったが、今度は逆に同行が攻める番。県境を越えた闘いは始まったばかり。行方が注目される。

「預かり資産営業の強化」

専担化100人以上投入
国債から投信へシフト

 前回の中期計画で他の地銀に先駆け預かり資産営業を強力に進めてきたが、新計画ではさらに拡大、貸出業務と同等の戦略分野と位置付け営業力の強化を図る。後方の店内事務部門でパートを大量採用、その分、店内の事務行員を営業戦力化し預かり資産営業に大量配置する。

 17・3期末時点で預金を含めた預かり資産残高は5兆3519億円。そのうち投資信託1097億円(16・3期末比42.7%増)、国債などの公共債保護預り3861億円(同16.4%増)。両方で全体の9.2%を占めるまでに拡大、10%超えも時間の問題だ。年金保険も16年度に334億円を販売、累計で839億円を販売した。

 これを受け、役務収益比率(役務利益/コア業務粗利益)は16年度決算で14.7%、15年度の13.5%から拡大。増益に大きく寄与し、手数料収入は金利収入に次ぐ1つの柱となった。

 新計画では、役務収益比率を19年度に19%への拡大を目指す。19年度の販売目標は株式投信1260億円、年金保険680億円、外貨預金1140億円、証券仲介340億円の計3420億円。4商品の16年度実績が1463億円で実にその2.3倍だ。

 今までは国債販売が牽引してきたが、収益的にいまひとつ。また、リスク商品へのニーズも高く、今後は投信の販売に力点を置く。

 人員面では、ビジネススタッフというパート・嘱託を3年間で400人採用し店内事務を任せる。そして、女性を中心に今まで店内事務に従事してきた行員に順次教育を施し資産運用担当に回す。その数は現時点では未定だが、100人以上にはなりそうだ。預かり資産営業の最前線に配属された女性行員の中には「既に億単位の営業成績を上げた人もいる」(永島旭頭取)と言う。

 また、プライベートバンキングの分野では、既に本部に専担者4人を配置。「今後状況を見て順次増員していく」(金融営業部)と言う。

「資金運用の多様化」

不動産投信先発で成功
外部のノウハウ獲得へ

 融資に次ぐ重要な資金運用の柱となる有価証券などの運用。預証率(預金に対する有価証券の比率)49.1%は全国の地銀でも高く、新計画でも力点を置いている。預証率の高さは金利上昇局面で収益にダイレクトに寄与するからだ。券金その中で以前は手堅く国債偏重のスタンスだったが、ここ数年、分散投資にシフト、戦略的に運用商品の多様化を急ピッチで進めている。

 特に、全国的に有名になった不動産投資信託(REIT)。現在簿価250億円で含み益は100億円。現在の利回りは3%台だが、簿価ベースの利回りは5%台。初期の頃の超優良物件に投資した銘柄が大半のためで、低金利下でこの利息収入は含み益以上に魅力的だ。これも先行メリットである。もっとも最近は市場に過熱感もあり新規銘柄の選定には慎重になっている。

 こうした高度なオルタナティブ投資(代替投資)の分野では、同行の場合REITのイメージが強いが、実際はそれ以外にも多様な金融商品に投資している。詳細な投資状況は「市場や他行との駆け引きの世界なのであまり明らかにしたくない」(資金証券部)とするが、ただ、その中で最近強化しているのは企業再生やベンチャー支援などのプライベートエクイティという。

 また、伝統資産分野でも従来の国債一辺倒の戦略を改め2年前から株式運用を強化。この作戦は見事に当たった。その後の金利上昇では債券の含み益減少を株式の含み益の拡大でカバー。県下の他業態の金融機関が有価証券全体の含み益を減らす中、逆に増やしたこともあった。さらに最近の増配ラッシュで配当収入も増えるという恩恵に与っている。

 こうした資金運用には当然ノウハウが必要だが、同行では「新たな金融商品が出たら、下調べをした上でわずかでも実際に購入してみること。それがノウハウにつながる」と話す。また、外部のノウハウ取得にも懸命だ。2年前から外部の運用会社に行員を1人ずつ交代で派遣し、現在2人目。最先端の技術を学ばせている。これらの運用ノウハウは「預かり資産営業の販売にも生かされる」と期待する。

本誌:2005年10.3号 8ページ
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