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“ばっかリ”食い

 まもなく米寿を迎えようとしている父ですが、最近食事の仕方に異変が起きていることに気付きました。ご飯、みそ汁、煮魚などが並ぶとまず魚を食べ尽くす、それからみそ汁を全部飲み干す、最後にご飯だけ食べる、という変則的な食べ方をしているのです。

 息子としては「お父さん、いろいろ交互に食べたら?」と、つい指図したくなるのですが、この食べ方こそ、今、小学校の給食で問題になっている「ばっかり食い」の見本のようです。

 しかしながら、茶会の正式料理である懐石は、「飯・汁」に始まり「向付」、「煮物」、「焼き物」、「強肴」(しいざかな)‥と1つずつの料理をゆったりした時間の中で順番に味わっていきます。フランス料理もまたしかり。

 伝統、格式、礼儀作法などの観点から考えるとどうも「ばっかり食い」の方が優位に立っています。それに対し、定食屋の料理、給食、病院食、機内食、そして家庭料理など、これらを仮にセット料理と呼ぶとして、セット料理はやや品格に欠けるきらいがあります。

 子どもや高齢者がセット料理をコース料理風に食べる理由を考えてみたのですが、第1の理由は何に箸を付けるかあれこれ考えなくていい、第2に好きな食べ物を他の食材やみそ汁に干渉されることなく味わいたいといったところでしょうか。

 学校の先生の心配は「ばっかり食い」の結果、最後にご飯とか野菜料理など、きらいな食材が残ってしまい、栄養に偏りが生じることにあるようですが、私には気にするほどのことでもないように思えます。

 そして蛇足ながら、食べ物は30回噛むよう指導するのも考えもの、そんなことをしたら胃が怠けてしまいます。

本誌:2005年5.21号 14ページ

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