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東京メトロ

 相変わらず建設が続いている東京の地下鉄は都市生活者にとって本当に便利な乗り物なのかと首をかしげます。新線はますます地下深く潜行し、乗客はエスカレーターや階段を4,5回乗り継がないと地上に出ることができません。

 しかも、エスカレーターが上下方向に完備しているかというと全く気まぐれとしか思えないような設置の仕方。地下鉄は足腰が丈夫な人専用の乗り物であって、身体障害者やお年寄りが気軽に利用することなど、とうてい不可能です。

 乗換駅も、昔作られた赤坂見附駅のように銀座線と丸の内線が同じホームを共有しているなんて、最早夢のまた夢、500mぐらい歩かされるのはざらです。

 一方、メトロの本場、パリの公共交通事情はどうかというと、バス路線が縦横に走っていて、しかもステップは超低床が基本。交通渋滞が起きる地区ではバス専用レーンが完備し、運行もスムーズ。運行路線図を見ると必ずしも地下鉄網を補完しようという意図はないようです。

 犯罪の巣窟と化している地下鉄とは対照的に、安全で快適、しかも目的地に直行してくれる上、パリの美しい風景も堪能できます。運行時間も早朝から深夜まであって、本当に都市生活者の便利な足として機能しています。

 東京も都市交通政策を大胆に転換しないといけない段階にきているなと、はるかかなたに出口が霞すんで見えるエスカレーターを駆け登りながら考え込んでしまいました。

本誌:2005年5.1号 14ページ

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