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[競業] 競業他社への就職・独立

Q 社員が今度、退職して、ライバル会社のS社に就職しました。我社としては、退職後、少なくとも3年間は、競業他社へ就職してもらいたくないのですが、そのような規定を作ることができるのですか?

可能だが禁止できる範囲に注意

A 社員がライバル会社に就職したり、独立して同じような業種を営むことを、競業といいます。

 在職中知りえた顧客情報を利用して、使用者と取引継続中の顧客に働きかけて競業を行うなど、きわめて不公正な態様の競業を行った場合に、退職後の競業避止義務違反に該当するとして損害賠償の支払いを命じた裁判例があります(チェスコ秘書センター事件H5.1.28東京地判)。

しかし、一般的には、「在職期間中に習得した経験・技術や業務上の知りえた知識は、人格的財産の一部で、これを退職後どのように生かし利用していくかは各個人の自由であり、特約(競業避止特約)もなしに自由を拘束できない」とされています(中部機械製作所事件S43.3.27金沢地判)。もちろん、在職期間中は競業行為を行わない旨の義務(雇用契約上の誠実義務)はあります。

 では、特約を定めれば無制限に競業を禁止できるのかといえば、そうではありません。判例では合理的な範囲にかぎられているとする立場を取っています。合理的な範囲とされるためには(1) 禁止にかかる期間…競業を制限する期間を合理的な期間に限定すること(2) 地域…制限する地域を合理的な範囲に限定すること(3) 職種・業務…制限の対象となる職種・業務を合理的な範囲に限定すること(4) 代償措置があること
が必要となります。

 また、競業他社へ就職した場合に退職金減額の取り扱いとするためには、退職金規定に「競業行為が発覚した場合には退職金を支給しない旨」の定めをする必要があります。ただし、退職金規定に減額規定があったとしても常に有効とされるものではありません。競業制限の必要性、在職中の職種や地位、上記(1)~(4)までの項目と勤続功労とを照らして個別具体的に減額率が判断されることになります。
 
双田社会保険労務士事務所所長
双田 直氏
岡山市野田4-1-7
TEL086-246-6064

本誌:2005年5.1号 33ページ

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