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幸運の卵

 夕方、近所のスーパーで買い物をしていたら、「こうちゃん!」と声が掛かりました。振り返ると幼なじみのかよちゃんが満面の笑みをたたえて立っていました。自慢の息子が防衛医科大学校(防医大)の一次試験に合格したというのです。

 そもそも防医大とは何ぞやというと、防衛庁直属の医学校で学生の身分は特別職国家公務員。授業料を払う代わりに給料をもらい衣食住すべて国の負担で医学教育を受けられます。

 長引く不況は子弟の進学にも暗い影を落として、私立の医大などはもう普通のサラリーマン家庭の子供には無理な状況。国立大学でも医学生はアルバイトなどする暇はなく、親の経済力によっては進学をあきらめざるを得ない事態になっています。そんな中での防医大への進学は大変な親孝行といえるでしょう。

 一方、防医大には普通の大学にはない制約もあり、なによりも自衛隊幹部候補生として厳しい訓練を受け、規律正しい生活を送らなければなりません。このあたりが遊びざかりの若者に受け入れられるかどうかという気がします。

 かよちゃんは、テレビばかり見てろくに勉強もしない息子が超難関の大学に合格したのはまぐれだと謙遜していましたが、私が合格祈願としてかよちゃんにプレゼントした二つ目玉の卵(二黄卵)のことはとんと忘れているようす。

 私が子供のころ、中学や高校受験というとかよちゃんのお母さんが夜道を歩いて二黄卵を届けに来てくれたものです。世代を超えて恩返しできたという満足感でいっぱいです。

本誌:2004年12.11/21号 20ページ

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